総長ご挨拶

東北大学は、平成25(2013)年に我が国の大学として初めて女子学生を受け入れてから100周年を迎えます。これを記念し今年度、女子学生入学百周年記念事業を実施いたします。

本学の女子学生の歴史は、100年前の大正2(1913)年に黒田チカ、丹下ウメ、牧田らく、の3名の女子学生が本学理学部化学科、数学科に入学したことに始まります。当時は男子の入学しか認められていませんでしたが、初代総長 澤柳政太郎が、国内外から多くの優秀な学生を集めるために、革新的な門戸開放の理念を掲げました。女子学生の入学はこの理念を体現したものです。

帝国大学への女子学生の入学に際しては、文部省から入学許可の取扱いに関する書状が送られ、また全国紙の新聞にも取り上げられるなど当時大きな話題となりました。その後3名は優秀な成績を収め、我が国で最初の女性学士となり、なかでも黒田チカは我が国で2番目の女性理学博士に、丹下ウメは初めての女性農学博士となり、我が国における女性研究者の発展に大きく貢献されました。

以来、本学は、戦前にあっては帝国大学として最も多くの女子学生を集め、平成13年に男女共同参画委員会を、平成18年に女性研究者育成支援推進室を設置し、アカデミアにおける男女共同参画推進の中心としてさまざまな活動を行ってまいりました。大正2年に3名だった女子の入学生数は、平成25年には1,184名となり、本学全体で4,343名の女子学生、392名の女性研究者が学業、研究、そして震災復興支援をはじめとした活動などさまざまな分野で活躍しております。

このような輝かしい伝統と歴史を受け継ぎ、本学は女子学生及び女性研究者のさらなる発展に取り組み、男女共同参画をより一層推進します。さらには地球規模で持続可能な世界の実現のため、新たな時代を切り拓く多様な卓越した人材の育成に寄与することを祈念し、行動指針の策定や8月の記念シンポジウムの開催及び記念ロゴマークの制定などを事業の柱とした女子学生入学100周年記念事業を実施いたします。

今後とも、本事業に対する皆様方の格別の御支援をいただけますようよろしくお願い申し上げます。

平成25年6月吉日
東北大学 総長 里見 進

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