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平成30年度 東北大学優秀女性研究者賞「紫千代萩賞」受賞者コラム

佐藤 優花里 [生命科学研究科 助教]
宮城教育大学教育学部生涯教育総合課程自然環境コース自然環境専攻 卒業、東北大学大学院生命科学研究科生態システム生命科学専攻博士課程前期 修了、生命科学研究科生態システム生命科学専攻博士課程後期 修了、博士(生命科学)、2017年-現在 生命科学研究科


紫千代萩賞を受賞してのご感想をお願いします。

東北大学に異動して、初めて、男女共同参画のイベントに参加する機会を得ました。また生命科学研究科では、2018年度から女性研究者の皆さまのご協力のもと教職員や学生が混ざったランチ交流会が毎月開催されています。性別や年齢を問わず、研究やコミュニケーションの進め方を学べるこれらイベントの開催に深く感謝しております。生命現象の解明という最終ゴールには、私の専門である構造生物学だけではたどりつけず、生化学者や細胞生物学者とのチーム連携が不可欠です。個人の努力とチームで得られた二つの成果で受賞できたことを大変嬉しく思います。さらに受賞をきっかけに、新たな研究を始める決心ができ、深く御礼申し上げます。

先生のモットーは?

千里の道も一歩から

今後の抱負をお聞かせください。

タンパク質の立体構造をX線結晶構造解析により決定する場合、タンパク質結晶の作製が必須です。一部の例外を除いて、多くのタンパク質は無色透明であり、結晶を得られた時はその姿を可視化できたような感動を覚えます。さらに、立体構造が解けた瞬間は一生忘れられない喜びがあります。実験が進まないときも、以前得た感動や喜びを忘れずに、信念を持って怯まずに挑戦し続けたいと考えています。これからも国内外のワークショップや異分野の方達との交流会に積極的に参加し、柔軟な思考回路を組めるよう心がけたいと思います。

最後に後輩達に向けたアドバイスやメッセージをお願いします。

正直に誠実に生きることが大切だと思います。それでも貶められそうになる場合もあります。そのような状況に出会ったら、決して一人で悩みを抱えずに、友達や家族、先生に悩みを打ち明けてみてください。一人で考えられる内容には限界がありますが、他人と話すことで視野が広がり、必ず対策が見つかります。また、最近は海外を含め距離がグッと近くなり、一度もお会いしたことのない方と仕事を進める機会も出てきます。このような状況では、素早い行動と論理的思考に基づいて意見を伝えることが重要です。この力は学内外のミーティングで沢山の人達と交流することで、身につけられるのではないだろうかと考えています。


[研究内容紹介]私たち人間を含む生体の大部分はタンパク質から構成されています。タンパク質の機能的性質は、立体構造によって決まります。立体構造は、特定のアミノ酸配列がドメインを形成されるよう折りたたまれることによって構成されます。タンパク質中のアミノ酸配列の多様性は、無限の配列を可能にしていますが、その配列は偶然のものではなく、機能をもたせるための法則が存在します。私は、人間の生命維持に必須な化学反応や微生物が医薬品などを生産できる法則をタンパク質の立体構造に基づいて解明することを目的に研究を進めています。
[研究キーワード]構造生物学、蛋白質結晶学、生化学

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