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2019年度 東北大学優秀女性研究者賞「紫千代萩賞」受賞者コラム

朱 琳[国際文化研究科 准教授]
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)


紫千代萩賞を受賞してのご感想をお願いします。

この度は、名誉ある「東北大学優秀女性研究者賞」を賜り、大変光栄に存じます。運営・選定委員の諸先生をはじめ、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。このたびの受賞を励みとし、「仙台にあって千代にも続く知と創造をもたらすという願いをこめた」「紫千代萩賞」にふさわしい研究に、今後より一層精進してまいります。

先生のモットーは?

万巻の書を読み、万里の道を行く

今後の抱負をお聞かせください。

中国と日本の近代史は解けがたく絡み合っているため、研究を続けているうちに、思想文化および人的交流のつながりの深さに気づかされました。どちらか一方の思想研究だけでは見えてこないものが、双方の鏡に映し出されることで見え始め、それぞれのもつ意味をより明確に捉えることができるようになります。近代日本の中国学を総合的に研究し、日本・中国・西欧の交差する近代の知的システムを動態的に考察することは大変大きな作業ではありますが、今後その研究構想を具体化すべく、着実に研究業績を積み重ねていきたいと思います。

最後に後輩達に向けたアドバイスやメッセージをお願いします。

学生の皆さんには、出会いと選択を大事にし、柔軟な発想で複眼的に物を見ながら、いろいろなことにチャレンジし、自分がやりたいことを見つけてほしいと思います。ほんとうに好きなことでなければ、継続することはできないからです。そして、迷ったり悩んだりしたときに人の意見を聴くことも大切ですが、最終的には自分で判断をしてください。自ら決めたことなら、自分の可能性を信じて頑張れます。これまで私もいくつかのターニングポイントで選択をしてきましたが、その場面ではいつも自分と向きあい、“最悪の結果を覚悟し最善の努力を尽くす”ことを心がけてきました。


[研究内容紹介]主に近代日中知識人の知的連鎖と文化交流、とりわけ、明治・大正期の日本思想と清末民国初期の中国思想の関連および影響関係について研究しております。例えば、中国史像と政治構想における内藤湖南と梁啓超との比較などがそれです。そして、戦前の画家たちのアジアイメージにも大変興味があり、関連の絵画作品や日記類、現地通信などを最近調査しはじめております。
[研究キーワード]アジア政治思想史、東アジア文化交流史、近代日本の中国学;内藤湖南、吉野作造、梁啓超

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