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2019年度 東北大学優秀女性研究者賞「紫千代萩賞」受賞者コラム

吉川 貴子 [医学系研究科 助教]
宮城県立第一女子高等学校 卒業、埼玉大学理学部生体制御学科 卒業、東北大学大学院医学系研究科医科学専攻修士課程 修了、東北大学大学院医学系研究科医科学専攻博士課程 修了 博士(医学)、2014年-現在 医学系研究科


紫千代萩賞を受賞してのご感想をお願いします。

このような素晴らしい賞を頂き、大変光栄です。基礎研究に対する厳しい研究環境の中で、研究面をサポートしてくださる東北大学の男女共同参画推進支援に心より感謝申し上げます。日々の業務で慌ただしく過ごしているなかで、このような賞をいただけることは大変な励みになりますし、より一層の研究・教育活動に貢献できればという思いを強くしました。研究を行う環境を与えてくださった研究室のメンバーと、日頃から支えてくれている家族には心から感謝致します。

先生のモットーは?

為せば成る、為さねば成らぬ何事も

今後の抱負をお聞かせください。

研究面では、今現在行っている神経幹細胞内の細胞周期促進因子サイクリンD2のmRNA輸送が、大脳皮質の進化に貢献しているのか、哺乳類以外の動物種を解析する手法に着手し始めました。色々な先生方のお力添えで研究を進めており、研究は一人ではできないことや新しいアイディアを生み出す楽しさを改めて実感しています。新しい概念を提唱し、その研究成果を発信できるように精進していきたいと思います。教育面では、大学院生や学部生との時間をもっと持てるように、自分の時間をうまく調整して、十分な議論と研究指導を行うことが目標です。

最後に後輩達に向けたアドバイスやメッセージをお願いします。

生きていくなかではたくさんの選択があります。これまで皆さんも数え切れないほどの選択をして今に至ると思いますが、より多様な選択を迫られる年代の女性の皆さんがこのメッセージを読んでくれているのではないかと思います。何を選ぶのか、最後は自分で決めなければなりませんが、狭い世界から飛び出すことで見えてくることがある、という場面が幾度となくありました。周りの人と関わることはもちろん、大学内の他の研究室、他大学、さらに異分野の方など交流すると、自分の視野がいかに狭かったかを実感することと思います。たまには気負わずに流されてみるのも良いかもしれません。ひとりよがりにならずに、外から吸収しつつ、自分にとって納得できる選択をしていけるように(私自身も……)頑張りましょう!


[研究内容紹介]大脳皮質は哺乳類でもっとも発達した脳の構造です。脳が発達するためには多くのニューロンが生み出される必要がありますが、実はニューロン産生は胎児期に完了します。胎児期の神経幹細胞という幹細胞が、自身の数を増やし、分化して機能的なニューロンを作ります。この神経幹細胞の増殖・分化は様々な分子機構によって制御されていますが、私は細胞周期促進因子のサイクリンD2という分子に着目しています。神経幹細胞は丈の長いユニークな形をしており、サイクリンD2のmRNAが神経幹細胞の突起先端部に輸送されるメカニズムとその意義について興味をもって研究しています。
[研究キーワード]神経発生学、大脳皮質、神経幹細胞、細胞分化

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