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平成30年度 東北大学優秀女性研究者賞「紫千代萩賞」受賞者コラム

落合 恭子 [医学系研究科 助教]
広島大学歯学部歯学科 卒業、広島大学大学院医歯薬学研究科創生医科学専攻博士課程 修了、博士(医学)、2011年-現在 医学系研究科


紫千代萩賞を受賞してのご感想をお願いします。

とても光栄です。基礎研究のような限られた社会環境に身を置いていると、果たして自分が行っている研究は意味があるのか、しばしば分からなくなります。このようなとき外部から評価頂き多大に励まされました。この度、受賞の機会を頂き、自らの研究をさらに発展させるために努力を積み重ねていきたいと思います。

先生のモットーは?

疑問を抱き自身と真摯に向き合う

今後の抱負をお聞かせください。

私が研究を志したきっかけは、疾患における異常を発見し治療へ役立てることでした。異常を知るには正常を知る必要があると考え、それから現在に至るまで正常な細胞分化の分子機構解明に携わり、その緻密さと複雑さに日々驚かされています。今後はこれまでの研究を発展させながら、癌や免疫不全などの疾患の発症や治療への応用を目指したいと考えています。目標は自分らしい研究足跡を一つだけでも世の中に残すことです。

最後に後輩達に向けたアドバイスやメッセージをお願いします。

切磋琢磨する仲間は将来の財産です。私は博士取得後すぐに米国へ留学し、幸運なことに、そこで立場や国籍を問わず素晴らしい仲間と出会うことができました。それまでの自分は自身に甘く言い訳ばかり探していましたが、彼らと厳しくも真剣に意見し合い、尊重し合い、そして研究や人生を楽しむことを学びました。そのときの仲間は今も私の研究活動の精神的支えとなっています。学生やポスドク時代は将来への希望と不安が入り交じりますが、出会う仲間はかけがえのない財産です。一度しかない人生、悔いのないよう、支え合える仲間と共に自身にとってベストな方向を模索してください。(右写真:研究室の仲間達と共に)


[研究内容紹介]私は、これまで免疫細胞であるB細胞をモデルに転写因子による細胞分化制御の研究を行ってきました。転写因子は、特異的なDNA塩基配列(DNAモチーフ)に結合して標的遺伝子の発現を制御します。成熟B細胞は、抗原刺激によって抗原親和性反応を経て抗体を産生する形質細胞へ分化しますが、このとき転写因子IRF4は少なくとも4種類のDNAモチーフを使い分けて抗原親和性反応と分化を統御することを明らかにしました。現在は、転写因子を含むエピゲノム複合体の機能を加味し、さらなる詳細な分子機構解明を目指しています。
[研究キーワード]細胞分化、転写制御

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