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2023年度 東北大学優秀女性研究者賞「紫千代萩賞」受賞者コラム

小松 愛乃[生命科学研究科 助教]

私立京都女子高等学校 卒業
京都工芸繊維大学繊維学部応用生物学科 卒業
京都大学大学院生命科学研究科統合生命科学専攻博士前期課程 修了
京都大学大学院生命科学研究科統合生命科学専攻博士後期課程 修了 博士(生命科学)
2016年-2017年 京都大学大学院生命科学研究科・博士研究員
2018年-現在 東北大学大学院生命科学研究科・助教


紫千代萩賞を受賞してのご感想をお願いします。

「紫千代萩賞」を授与していただけてとても光栄に思っています。着任当初より同じ研究科・分野の近い研究科の先生方が受賞される姿を見て、いつかは自分も受賞できるような成果を出したいと思っていましたので、実現できて嬉しいかぎりです。本学で研究を進めるにあたって、本当に多くのサポート、ご指導、ご助言をいただきました。支えてくださった多くのみなさまに、受賞という形で成果をお見せできてよかったと思っています。また、受賞式等では分野の異なる先生方に研究を紹介する機会をいただけて、いろんな視点から研究を見つめなおすきっかけにもなりました。今回の受賞を励みに、今後もより一層研究に邁進していく所存です。

先生のモットーは?

「まず、やってみる」
新しいことを明らかにする研究は、日々試行錯誤の連続です。何事もやる前から諦めるのではなく、まずやってみることを大切にしています。無理かもしれないと思うようなことも、やってみれば案外なんとかできることもあると信じています。

今後の抱負をお聞かせください。

ゼニゴケの栄養繁殖について、これまでとは別の成長ステージに着目した観察方法を確立しようとしています。まだまだ改良が必要ですが、新しい分子機構の解明につながると信じて諦めずに精進していきたいと思います。自分の研究が進むにつれて、研究室のメンバーや共同研究者の方たちの研究内容との繋がりを改めて実感するようになりました。自分で作り上げた実験方法や研究の成果が、別の人の研究と繋がって発展していくことはとても興味深く、やりがいを感じます。たくさんの人と協力して、植物の増殖の仕組みの理解に貢献したいと考えています。

最後に後輩達に向けたアドバイスやメッセージをお願いします。

いろんな人や物事との出会いを大切にしてほしいと思います。振り返ってみると、あの時あの場所に行ったから、あの人に出会ったから、その後の方向性が決まったという経験をこれまでに何度もしてきました。たくさんの出会いに支えてもらって今の自分があると感じています。対面でのコミュニケーションが少なくなってしまった時期もありましたが、いろんな場所に行っていろんな人に出会うことで得られるものはとても貴重です。ぜひ広い世界に飛び出してみてください!


[研究内容紹介]
多くの植物は、種子で増えるだけでなく、体の一部からクローンを作る「栄養繁殖」によっても増殖します。身近なコケ植物であるゼニゴケは、無性芽と呼ばれるクローンを多数形成して、それぞれが新たな個体に成長して多数の無性芽を形成するというサイクルを繰り返して驚異的に増殖します。栄養繁殖の程度は環境に合わせて調節されますが、栄養繁殖を最適化する仕組みについてはあまりよくわかっていませんでした。これまでに、ゼニゴケの無性芽形成を制御する植物ホルモンの機能を発見し、この植物ホルモンが環境情報に合わせて栄養繁殖の程度を調節する仕組みについて解析を進めています。どんどん増えるゼニゴケをモデルに、植物の旺盛な増殖力を支える機構の解明に取り組んでいます。

[研究キーワード]植物の栄養繁殖、植物ホルモン、ゼニゴケ、無性芽

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