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2023年度 東北大学優秀女性研究者賞「紫千代萩賞」受賞者コラム

焼野 藍子[流体科学研究所 助教]

私立四天王寺高等学校 卒業
大阪大学工学部応用理工学科 卒業
東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻博士前期課程 修了
東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻博士後期課程 修了 博士(工学)
2017年10月-現在 流体科学研究所


紫千代萩賞を受賞してのご感想をお願いします。

この度は,栄誉ある「紫千代萩賞」を贈賞いただき誠にありがとうございました。これまでご指導いただいた全ての皆さんにお礼申し上げます。時代が違えば,女子は前に出ることもはしたないとされたでしょう。道を作ってくださった先輩方には,感謝してもしきれない思いです。東北大学の開学以来の「研究第一主義」の伝統,「門戸開放」の理念及び「実学尊重」の精神が,これからも東北大学の特色であり強みであり続けますようにと願ってやみません。

先生のモットーは?

人事を尽くして天命を待つ

今後の抱負をお聞かせください。

これまでの基礎研究で見出された低抵抗デバイスの,各種高速輸送機での実用化をぜひ目指したいと思っています。そして将来,このデバイスが搭載された車で通勤したいです。去年から今年にかけては,まず亜音速域での物体表面近傍のマイクロスケールの流れの効果を調査してきています。今後はさらに早い流速域でのサブナノスケールの流れの効果の調査,流体が従う決定論的支配方程式の「分岐」の性質の理解と制御,ナノスケール可視化など,やりたいことが盛りだくさんです。

最後に後輩達に向けたアドバイスやメッセージをお願いします。

わたしはこれまで,機械工学系,航空宇宙系,環境系,と様々な研究分野を経験し,幅広い視野を養うことができました。また産官学の枠組みを超えた交流により,自分が考えてもいなかったところに応用ができることに気付かされたりすることもありました。誰も思いつかないようなニーズ&シーズを見つけたら,周りの人達を気にし過ぎずそれを自分のオリジナリティにしてしまいましょう。そしてやるべきことを兀々とやっていくことで,見ていて評価してくださる人が必ず出てきて,自ずと道を開拓できると思います。


[研究内容紹介]リニア新幹線や超音速機,電動航空機などの次世代高速輸送機器は,省エネルギー,カーボンニュートラル化へのさらなる厳しい要求,製造技術の向上から,新技術開発の機運が再び高まっており,これまで影響を無視されてきた現象が問題になりつつあります。本研究では,未知現象の解明,新しい理論モデルの構築,実験データを用いた妥当性の検証を行うことで,ナノ(気体分子運動)〜マイクロ(乱流渦)〜マクロ(輸送機器)の複数層をまたぐ超層的流体科学を確立し,次世代輸送機器革新へ繋げていく取り組みを行っています。

[研究キーワード]流体力学,航空宇宙工学,数値流体力学,各種流体実験,熱・流体制御

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