松平 泉[学際科学フロンティア研究所 助教]
宮城県宮城第一高等学校 卒業
東北大学文学部人文社会学科 卒業
東北大学大学院医学系研究科医科学専攻修士課程 修了
東北大学大学院医学系研究科医科学専攻博士課程 修了 博士(医学)
2020年-2023年 東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター 助教
2023年-現在 東北大学学際科学フロンティア研究所 助教
紫千代萩賞を受賞してのご感想をお願いします。

研究者という振る舞いを永く面白く続けられるのは、勇敢で謙虚な人だろうと思います。生来臆病で傲慢な私には、とても務まるはずのない立場です。それにも関わらず、このような栄誉ある受賞の機会を頂けた所以は、今日までにたくさんの、勇敢で謙虚で、そして優しい方々に巡り会えたことに他なりません。未熟な私をこの機会へと繋げてくださった全ての方々に、深く感謝申し上げます。
私は文学部で学んだ後に理系の大学院に進み、のびのびと研究をしてきました。自分とは異なる世界に受け容れて頂いた経験を持つ者として、性別や分野などの条件に依らず、誰もが自由に成長できる学術界の醸成に尽力したいと考えております。
先生のモットーは?
戦わなければ勝てない
今後の抱負をお聞かせください。

実は他大学への転出が決まっており、このコラムが掲載される頃には、私は東北大学におりません。自分で決めたこととは言え、学生時代から15年以上もお世話になった東北大学を離れることは私にとって未だに信じがたく、急に足元がゆらゆらする感覚になります。曲がりなりにも研究者たるもの、異動の一つや二つしっかり乗り越えて、強くならねばなりません。東北大学に合格したこと、大学院まで通えたこと、そのまま就職させて頂けたこと、すべて良かったことです。これまでの良かったことに負けないように、これからの選択も良いものにしていかなければと思っております。研究テーマはこれまでと変わりません。当面はTRIO studyのデータを活かして活かして活かし尽くして、たくさんの面白い論文を発表していこうと思います。
最後に後輩達に向けたアドバイスやメッセージをお願いします。
生きる支えになりそうなメッセージは難しいので、最近大事だと感じたことを2点強調します。このコラムを最後まで読む方にとっては当たり前のことかもしれませんが…。
まず、話してみたいと思う人がいたら、できるだけお話ししましょう。自分から動き出さないとやはり誰にも見つけてもらえないものです。見つけてもらえると、少しずつですが新しい機会に繋がる場合があります。
もう一点、これは私自身が修行中の事項ですが、メールは早く返しましょう。私より遥かに忙しい先生が、私より遥かに速く、しかも理路整然とした返信をくださると、とても情けない気持ちになります。同時に、その先生がとても輝いて見えます。そのような人間になりたいものです。
[研究内容紹介]
親子が似ている、親も子もうつ病を発症する、など、考え方や行動の特徴が連鎖するかのように親子間で観察されることを「世代間伝達」と言います。我々は世代間伝達の機序に迫るべく、⽗・⺟・⼦からなる親⼦トリオを研究対象とした“Transmit Radiant Individuality to Offspring (TRIO) study”を独自に開始しました。TRIO studyは、父・母・子の3名全員から脳画像・遺伝情報・生育環境情報等を取得する、全く新しい研究基盤です。このデータから、親子の脳の構造的特徴が類似することや、親の幼少期の虐待被害経験と子の脳発達の関連など、世代間伝達に関する新たな知見を一つ一つ解き明かし始めています。

[研究キーワード]ヒト、脳、発達、世代間伝達、親子トリオ
