宇井 彩子[加齢医学研究所 准教授]
田園調布学園 卒業
東京薬科大学薬学部 卒業
東北大学薬学研究科博士前期課程 修了
東北大学薬学研究科博士後期課程 修了
2019年-現在 加齢医学研究所
紫千代萩賞を受賞してのご感想をお願いします。

このたびは栄えある「紫千代萩賞」を賜り、心より光栄に存じます。私は本学大学院以来、生命の設計図であるゲノムの安定性とそれを支えるクロマチン構造の動態解明に一貫して取り組んでまいりました。研究の道は決して平坦ではありませんでしたが、幾多の困難を乗り越え今日を迎えられましたのは、恩師をはじめ研究室や共同研究者の皆様、そして家族や友人の温かな助力があったからこそと、深く感謝しております。 今回の受賞を大きな糧とし、今後も生命科学の真理追究に真摯に向き合い、独創的な成果を通じて社会に貢献できるよう、より一層研究に邁進する所存です。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

先生のモットーは?
研究は必ずしも順調に進むとは限らず、思うように結果が出ない時期や、研究の方向に迷うこともあります。しかし、そのような時でも歩みを止めずに少しずつ前に進み続けることで、振り返った時には思っていた以上に遠くまで進んでいることがあります。
私自身、大学院時代からゲノム安定性とクロマチン構造の研究に取り組んできましたが、その過程では多くの困難や試行錯誤がありました。それでも研究を続けてこられたのは、恩師や共同研究者、研究室の仲間、そして家族や友人の支えがあったからこそだと思っています。この言葉を胸に、これからも一歩ずつ研究を続けていきたいと考えています。
今後の抱負をお聞かせください。
ゲノムの不安定化は、がんや老化など様々な疾患と深く関わっています。今後は、これまでの基礎研究で得られた知見をさらに発展させ、ヒトがん細胞や臨床検体の解析と融合させることで、難治性疾患の理解や新しい治療法の開発につながる研究へと展開していきたいと考えています。
今回の受賞を励みに、生命科学の基礎的な問いに真摯に向き合いながら、社会に貢献できる研究を進めていきたいと思っています。
最後に後輩達に向けたアドバイスやメッセージをお願いします。
研究の道は決して一直線ではなく、時には思い通りに進まないことも多いと思います。しかし、そのような時こそ焦らず、目の前の問いに丁寧に向き合うことが大切だと思います。
また、研究は一人で進めるものではなく、多くの人との出会いや協力の中で発展していくものです。恩師や研究仲間、共同研究者など、周囲の方々とのつながりを大切にしてほしいと思います。
そして、自分が「面白い」と感じる研究テーマを大切にし、好奇心を持ち続けてほしいと思います。小さな一歩でも歩み続けていけば、必ず新しい発見につながるはずです。

[研究内容紹介]
私の研究テーマは、生命の設計図であるゲノムの安定性を支える分子機構の解明と、その破綻が引き起こすがんや老化の仕組みを理解することです。これまで、DNAが細胞内でクロマチンと呼ばれる構造を形成している点に着目し、クロマチンの動的制御、特にクロマチンリモデリングがゲノム安定性の維持にどのように関与しているのかを研究してきました。
その結果、クロマチン構造を制御する因子がゲノムの安定性を保つうえで重要な役割を担っていることを明らかにしてきました。現在は、これらの基礎研究の知見を基盤として、がんや老化におけるゲノム不安定性の分子機構の理解を進めるとともに、将来的には新たな治療戦略の創出につながる研究へと発展させることを目指しています。
[研究キーワード]ゲノムの安定性、クロマチン構造変化、DNA修復、がん、老化
