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【報告】性の多様性・社会イノベーションセミナー「多様な性のあり方・SOGIを自分事として考えるにはー地域の視点から考えるー」(2023/4/26 開催)

【日  時】 2023年4月26日(水)16:20-17:40
【開催形式】 対面開催
【参加対象】 東北大学内・学外問わずすべての方
【参 加 費】 無料
【定  員】 200名(申込み先着順・定員に達し次第締切)
【主  催】 東北大学経済学部NPOゼミナール
【共  催】 経済学研究科・経済学部(男女共同参画WG・SDGsラボ)
【協  力】 みやぎにじいろパレード2023実行委員会、東北大学性を考えるサークルAROW
【参加者数】 学生・教職員・一般の方55名

2023年4月26日(水)16:20~17:40、東北大学川内キャンパスにて、みやぎにじいろパレード実行委委員⾧大森駿之介氏をゲストにお招きし、性の多様性・社会イノベーションセミナー「多様な性のあり方・SOGIを自分事として考えるにはー地域の視点から考えるー」を開催しました。本セミナーには、学生・教職員・一般の方55名が参加しました(主催:東北大学経済学部NPOゼミナール、共催:東北大学経済学研究科・経済学部(男女共同参画WG・SDGsラボ)、みやぎにじいろパレード2023実行委員会、東北大学性を考えるサークルAROW)。なお、本セミナーは、経済学研究科教員研修FDとしても開催しました。
当日は、まず「SOGI基礎編」で基本用語や現状を事前学習し、大森氏と主催ゼミ生との対談を行ないました。そのうえで、大森氏に「つねにすでに地域社会に生きる性的マイノリティを常に考えるための方法―宮城県北部の性的マイノリティ団体を事例に」というテーマでご講演いただきました。地域の視点を切り口に私たちにできることは何か、参加者からも活発な質問や意見が出て、考えを深めることができました。

参加者のみなさんからは、多様な意見が寄せられました。大森氏の講演については、性的マイノリティの話題を自分事化している記述が多かったです。マイノリティの立場だけでなく、マジョリティとしての「特権」や性に「グラデーション」があることを理解できた様子が伺えました。また、都市と地方における性的マイノリティの認識の差や女性を雇用することへの目的の違いに触れた感想もありました。

参加者の声(アンケート回答一部抜粋)

  • 「知っている」だけでは不十分で、一人ひとりが自分や他人の特権性やマジョリティ性、マイノリティ性を感じる(それもグラデーションがある)ことが重要であることを改めて認識した。
  •  マジョリティに属するからと言って、性的マイノリティを他者化せず、自らも「多様な性」の一構成員として当事者意識を持つことが、性に関する差別や暴力をなくすことに繋がると感じた。
  • 島国日本でも、「特権」を授かっている事実に気づける時代や空気感になっていることに感心しつつも、あと一歩人の心に訴えられるような人になりたい。
  • 活動が盛んに行われていない地域での啓発活動や当事者と非当事者との関わりといった一歩先の内容で、考えたことのなかった視点をたくさん得ることができた。
  • 大森さんに紹介していただいた「二重の不可視化」が勉強になりました。大都市ではない地方都市で暮らしているマイノリティの人の抱えている難題をより把握しまして、LGBTQにとっての地方でのイベントの重要性を確認しました。
  • 「講演などの啓発活動が、居合わせた住民の多様な意見を当事者に可視化する場でもあり得る」ということが個人的に印象に残った。
  • 性的マイノリティの認識について大都市と地方とで差があることが明らかになっていることです。地域ごとのサンプル数に差がある点や地域の分け方等、疑問に残るところはあるが、より広く正確なデータを収集・分析し同じ結論が得られれば、人口規模や発展度合いに比例して多様性への認知・受容度が上昇するという、応用可能性の高いセオリーを提唱できるかもしれませんね。
  • カミングアウトをされた時に、本人が言われて嬉しい言葉は何か。
  • 雇用等で女性を多く採用することのメリットとして、「女性ならではの視点の獲得」よりも「組織における社会的な地位向上」がメインなのではないかなと考えています。結果が同じでも、目的が組織ごと(行政や民間企業等)に異なることに興味深さを感じました。

参考:「東北大学 -みんなが主役- 多様な性に関するガイドライン」に関する学生意見例
(4/12実施・本セミナー主催NPOゼミナールにおける事前学習ディスカッションより)

  • しっかりと制度が整っていて驚いた。
  • 制度として、非当事者から見た限りは必要な内容は揃っているように感じた。いかに周知するかが問題。
  • 完成しているものではないが、取り組みは素晴らしいと思う。ここからいろいろな対策がなされて欲しい。
  • ガイドラインは学部生にも届いているのかな?
  • このガイドラインがもっと広まるための施策を考えるべきだと思った。みんなが通る道になってほしい。
  • ガイドラインの周知と同時にその背景にある事象(どういう人が苦しんでいるのか、なぜこういう取り組みを行っているのか)も説明していく必要があると思う。
  • 名前を通称名に変えられる制度があることを初めて知って、取り組みとしては非常に面白いと感じた。ただやはり、その人についての事前情報を周りが持っていたらどうして急に名前を変えたんだろうと気にせずにはいられないだろうし、今の方法では入学段階でのみ有用な制度だと思った。
  • 抽象的な宣言だけではなく、実用面での記述が多多ある点が良いと感じた。他の方の意見にもあったように、使用者の匿名性がもう少し担保できると利便性が増すだろうと思われる。
  • 不十分だと思われる点を直してもまた更なる不十分な点が発見されると思われ、ジェンダー問題が正解のない問いであることを証明していると感じられた。
  • ジェンダー問題には、ある性質を持つ人々のために動くとまた異なる性質を持つ人々に弊害が出るという事象がほとんど見受けられる。
  • 多様性を受容していくことは大事だと思うけど、意識しすぎるのも違うのかなと思いました。
  • 性的マイノリティに配慮するあまり、他の学生が不便を被る可能性のある事例があり、皆が心地よく生活するのは難しいと感じた。
  • 全員に配慮をしようとすると、制約がどんどん増えてしまって、考えられる解決策が難しくなってしまうと感じた。
  • 体育とかにまで先生側が気をつかわなければいけないのは敏感になりすぎなのではとは思いつつも、自分が対象者だったら細かくやってほしいと感じた。
  • 配慮しているつもりでも見方を変えればそれがかえって性的マイノリティの方々への負担になっている部分もあったのでもう少し詰められそうだなと思いました。実例がないとやっぱり考えるのは難しそうな問題ですね。
  • ディスカッションしたことで、こんなにも多くの意見が飛び交うとは予想してなかったので、びっくりしました。組織として建前で文書化したに終わらず、実行まで進んでできるようになったら、今後心が救われる学生が少しでも増えるのかなと思いました。なお、グループディスカッションをふまえた全体議論の際には、以下のような意見も共有されました。
  • 制度は整備されている、ガイドラインも必要な内容が網羅されている。これを浸透させていく必要がある。浸透させないと、学生間や集まりの中で不快な人がいる。どのように浸透させていくか、広めていき方が大切。例えば、教室で一斉に学ぶ、目にする機会が重要。一年生が必修の学問論で、30分でも講義したり、クラスルームにリンクはってはどうか。
  • 学生の名前の変更について。入学時、名前知らないときなら変更してもいいが、数か月たった後に、学生から変更したいといっても、逆に教員から通称名で呼ばれると、悪目立ちする。
  • 多目的トイレをだれでもトイレに名称変更したとして、入りたいと思うか。このトイレを使うことで当事者として認知されるかもと思い使用するのをためらうのでは。
  • ガイドラインの各所に「相談してください」とあるが、人と違う部分を持っていることを、赤の他人に話すことはためらわれる。
  • 20名の学生が議論するだけでも、多様な意見が出た。もっといろんな場で話し合う機会を設けてはどうか。

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