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平成30年度 東北大学優秀女性研究者賞「紫千代萩賞」受賞者コラム

福泉 麗佳 [情報科学研究科 准教授]
早稲田大学理工学部数学科 卒業、東京大学大学院数理科学研究科数理科学専攻博士前期課程 修了、東北大学大学院理学研究科数学専攻博士後期課程 修了、 2008年-現在 情報科学研究科


紫千代萩賞を受賞してのご感想をお願いします。

実生活に直接役立っているのかが一般には見えにくく、それゆえに研究価値や学ぶことの意味を理解してもらいにくい「数学」という基礎学問を評価してもらえて良かったと思います。この場をお借りして、 私の所属している情報科学研究科のスタッフ、特に推薦してくれた方々、また仕事をしたいときにさせてくれる息子2人と夫に、これまでの研究サポートを感謝します。

先生のモットーは?

斬新なものを発信し続けること。

今後の抱負をお聞かせください。

私が現在興味を持って研究している内容は、解析学の中では比較的新しい分野で、欧米ではこの分野に介入を希望する学生や研究者の数が急増しています。新しい分野なので未開拓な部分もたくさんあり、日本の若い学生たちを育て共に分野を広めたいと考えています。近年の2回の出産を機に、子育てとの両立で研究時間が思うようにとれず落ち込んでいました。下の子がもうすぐ3歳になり、体も丈夫になって余裕が出てくると思うので、本格活動再開です。

最後に後輩達に向けたアドバイスやメッセージをお願いします。

数学という分野には極端に女性研究者が少ないですが、数学を研究する能力に男女差はないです。社会全体が作る偏見というのは恐ろしいもので、私は小さい頃から「女の子は、数学に弱いから数学は向かない」と言われて育ち、大学院に行きたいと相談すれば「そんなことすると結婚できないし子供も持てないよ」と返され、大学院生時代には女だということで交際候補とみなされるか、あるいは完全に孤立するかのどちらかでした。それは、周りの人たちがそういう偏った教育を受けてきたからだと思います。自分の思考や行動についてメディアに流されたり習慣に従うということをやめ、理論的に理由をつけ、是非自分の考えを持つようにしてみてください。


[研究内容紹介]量子物理に動機づけられた確率偏微分方程式を主要な研究課題としています。 特に、 ノイズ項を含む非線形分散型波動方程式に対して、 解の意味づけをはじめ、 ソリトンや渦などの定常解のゆらぎ度合、 解の分布の時間無限大における平衡状態への収束など数学的に基本的でありかつ物理的にも重要な問題について、 数学解析・確率論の手法を駆使した厳密理論を展開しています。
[研究キーワード]数学・解析学・非線形偏微分方程式・確率論

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