小川 亜希子［加齢医学研究所 モドミクス医学分野 助教］
フェリス女学院高等学校 卒業
東京大学医学部医学科 卒業
熊本大学大学院医学教育部 博士課程 修了 博士（医学）
2019年－現在 現職
紫千代萩賞を受賞してのご感想をお願いします。
このたびは名誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。2019年に東北大学に着任して以来、RNAの修飾の代謝がどのように体に影響を与えるかを解明する研究に取り組んできました。様々なことがありましたが、私の研究活動に対して多大なご理解とご支援をいただいた仲間や指導者のおかげでここまで進めることができました。今後もさらに研究を進め、新たな発見を通じて病気の治療や予防に貢献したいと思います。皆様のご支援に心から感謝し、引き続きご期待に応えられるよう努力してまいります。
先生のモットーは？
私のモットーは「探求と挑戦」です。科学の世界では、常に新しい問いが生まれ、既存の知識に挑戦することが求められます。未知の領域に踏み込む勇気を持ち、失敗を恐れずに試行錯誤を繰り返すことで、真の発見が得られると信じています。また、一つの視点に固執せず、多角的な視点から問題を捉えることも重要です。異なる分野や専門家との交流を通じて新しいアイデアを得ることが、研究を進める上での原動力となっています。このモットーを胸に、これからも常に前進し続けたいと思います。
今後の抱負をお聞かせください。
私は眼科医で、特に緑内障という病気を専門としています。ヒトは視覚から外界の情報の大半を得るため、視覚の維持は高齢化社会にとって非常に重要な課題です。しかしながら日本の失明原因の第一位を占める緑内障の根本的な原因は不明です。私の大きな夢としては、この緑内障という病気のメカニズムを解明し、新しい治療法や予防の開発に貢献したいと考えています。この研究の過程の中で未知の領域に挑戦することで、科学の進歩やより多くの人々の健康に貢献する成果を挙げ、新たな知見を広げていくことを目指します。
最後に後輩達に向けたアドバイスやメッセージをお願いします。
後輩の皆さんへ、まずは探求心を大切にしてください。研究の道は決して平坦ではなく、多くの困難や挫折が待ち受けています。しかし、その先で出会える新しい発見や喜びにはかけがえのない価値があります。失敗を恐れず、挑戦することを忘れないでください。また、孤独にならず、周囲のサポートを大切にすることも重要です。仲間や指導者との協力が、困難を乗り越える力となります。そして、常に自分を磨き続ける姿勢を持ち続けてください。未来の科学者としての皆さんの成長と活躍を心から応援しています。共に科学の未知なる世界を切り開いていきましょう。
［研究内容紹介］
私たちの体内にあるRNAには、最近、様々な化学修飾が施されていることがわかってきました。これらの修飾を受けたRNAは、役目を終えた後もその修飾を持ったまま血液や尿、目の中の液体（眼房水）などに分泌されます。これらの修飾されたRNA由来の因子の中には、体の中でシグナルを伝える重要な役割を果たすものがあります。私はこれらのRNA由来の修飾因子がどのようにしてヒトの体の機能や病態に影響を与えるのかを調べる研究を行っています。この研究により、目の病気の新しい治療法や予防法の発見に繋がることを期待しています。
［研究キーワード］RNA、眼科学、緑内障
