佐藤 恵美子[薬学研究科 准教授]
岩手県立一関第一高等学校 卒業
弘前大学農学生命科学部生物機能科学科 卒業
東北大学大学院生命科学研究科分子生命科学専攻博士前期課程 修了
東北大学に論文提出にて論文博士(生命科学)、論文博士(医学)を取得
2011年-現在 薬学研究科 臨床薬学分野
紫千代萩賞を受賞してのご感想をお願いします。

この度は栄誉ある紫千代萩賞を受賞することができ、大変嬉しく感じております。20年前から腎臓に興味を持ち研究を始め、バイオマーカー探索、病態解析、治療標的の探索、予防・治療薬の開発など幅広く腎臓に関わる研究を行ってきました。腎臓に関する研究をここまで継続して行うことができ結果を出すことができたのは、私をこれまで指導してくださった多くの先生方、共同研究者の先生方、仲間、学生、研究支援者、家族のお陰です。私の研究に関わってきた皆様に深く感謝しております。まだまだ腎臓に関する研究を行っていき、腎臓病に苦しむ人たちを1人でも減らせるような予防・治療法の開発に貢献していきたいと思います。
先生のモットーは?
「いつでも楽しく明るく笑顔で」「自分に優しく、人にも優しく」
今後の抱負をお聞かせください。
私の研究のテーマの中心は「腎臓」です。腎臓は体の臓器の中でも非常に複雑な構造となっており未知な部分がたくさんあります。腎臓は障害をうけ機能が低下すると再生しにくく元に戻すことができない臓器なのです。また腎臓の機能が低下すると高血圧や心血管イベントのリスクが高くなりますが、その他にも筋肉の萎縮や認知機能低下などのリスクも高まります。そのため腎臓の健康を維持することが大切になります。私は胎児期~老年期の腎臓について研究を進め、腎臓の健康維持につながる道標を研究しています。将来的に腎臓病で苦しむ方が減少し、国民の健康維持につながることを目指しております。
最後に後輩達に向けたアドバイスやメッセージをお願いします。

薬学研究科では2021年4月に女性薬学研究者育成チーム(POLISH)を創設し、将来の薬学研究を担う女性研究者の育成する活動を行っております。POLISHには「磨く」という意味があり、研究者の原石である学生を将来の研究者へと導いていきたいと思いつけた名前になります。研究の話だけでなく、研究者として生きていくための内容のセミナーも開催していますので、気になった方はぜひご参加ください。研究者になりたいけど不安。という学生はたくさんいると思いますので、気軽に相談ができる場を提供していきたいです。
[研究内容紹介]
今回受賞した研究内容は低出生体重が及ぼす世代を超えた影響についての研究です。将来の健康や特定の病気へのかかりやすさというのは、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定されます。低出生体重も将来の健康に影響を与える因子となっていますが、現在、日本の新生児の約10%は低出生体重児であるため、将来的に日本の新成人の10%が低出生体重に関連する腎障害や高血圧などになりやすい健康リスクを抱えることになります。本研究では低出生体重の未熟な臓器が成体期や妊娠期に悪影響を及ぼし、その影響が世代を超えて連鎖することを明らかにしました。また低体重を改善することで危険因子の世代間連鎖を止め得ることを示唆しました。

[研究キーワード]慢性腎臓病、低出生体重、筋萎縮、メタボロミクス