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My Story – 男性の育休ー「研究・仕事と育児の両立」

宇田 智紀(材料科学高等研究所 数学連携グループ 助教)

2歳の娘

京大を出た後、本学材料科学高等研究所に所属しています。専門は数学で、データ解析や数値解析といったことを行なっています。娘はいま2歳でよく喋り、「パパのスマホでキティちゃんみうー」といったことを覚えてしまいました。スマホを持っているのが分かるとそれに興味を示してしまうというのは、どのご家庭でもあるのではないかと思います。皆さんどうしているのか気になりますね。

育休を取得するまで

東北大学の育休制度にとともに、科学技術振興機構(ACT-X)の研究期間中に育児休業制度を利用しました。ACT-Xでは研究期間中のライフイベントによる研究中断制度があります。最近のいわゆるパパ育休といった制度ができる前に、育休を取得しました。制度が切り替わる直前だったこともありますが、産休と育休を間違えられるようなこともありました。産休はお母さんの制度で、育休は母親も父親もどちらも取れますね。とは言え、こうした制度は複雑化しており、区別がつかない人もいるのも無理もないことかと思います。東北大学の場合は男性の育休取得推進の風潮もあり、実際に男性が育休を取得した前例もありました。事務の皆様の助けもあり、書類上の苦労もあまりなく、無事に育休を取得できました。

仙台と富山を往復

私は三重県出身で、妻の出身が富山県です。いわゆる里帰り出産&里帰り育児という形です。仙台駅から富山駅までは3時間ほどです。しかし、新幹線代を節約しようとすると5時間ほどかかる場合もあります。さらに在来線に乗り継ぎ、妻の実家まで6〜7時間はかかりました。往復は大変でしたが、当時はコロナ禍でテレワークが普及し始めた時期でした。これは私にとって非常に幸運なことで、現地参加しなければならない仕事が大幅に減ったおかげで、ほぼ富山で生活することができました。実際に育休やACT-Xのライフイベント研究中断制度を申請したのは10月頃です。その後12月に出産ということで、有給や育児休暇を合わせて12月は8割くらい休んだと思います。

育休中は義実家で生活

2月から5月に育休を取得し、この期間は義実家で育児に専念しました。義理の両親はまだ働いてらっしゃるので、昼間は私と妻と、まだお元気なおばあさまと3人で育児しました。夜には義両親も帰ってくるので、お風呂入れるなどは手伝ってもらいました。それまでは仙台で妻と2人暮らしでしたが、2人だけの育児は厳しいということになりました。そこで、2人で住んでいた部屋は引き払い、私は単身向けのマンションに移って家賃を節約しつつ、義実家で育児をしました。その後、7月から研究再開という流れでした。

大きかったテレワークの普及

それまで、研究集会などは対面が当たり前でした。しかし、コロナ禍でテレワークが普及し、SlackやZoom、Teamsなどのツールが浸透したことで、在宅でも研究集会に参加できるようになりました。東北大学でも制度が刷新されてテレワークが申請しやすくなったことも非常に大きかったです。テレワーク制度がなければ、富山と仙台間の往復が増えて出費も大幅に増し、体力的にもハードだったと思います。とは言え、テレワーク中であっても子供は「パパー!」と言って寄ってきてしまいます。富山でテレワークやオンラインで研究集会などに参加していても、娘がやってくるとミュートにする、といった細かな時間の切り売りのような感じになってしまうこともあります。

育休中に来る仕事

まとまった研究時間の確保が難しいことは、研究者にとって死活問題だと思います。私の専門の数学の場合、食事抜きで研究し続ける方もいます。そうした方の場合、研究と育児の両立は無理だと思います。また、育休中に仕事が来る場合もあります。職場の方は私が育休中であることを知っていても、外部の方は知りません。例えば、育休前に投稿した論文の査読結果が育休中に来た場合、期日までに対応しなくてはなりません。幸い私は、私が育休中であることを知っている方がいて配慮してくださったので大きな問題はありませんでした。また、新しい定理を思いつくと、数学者としては書き留めておかないといけない、といったこともありました。育休中であっても、研究者はそうした部分があるのだと思います。

※本記事は、2024年2月13日に開催した「第31回 TUMUGオンラインランチミーティング」で発表いただいた内容を、ご本人より承諾を得て掲載しています。
※ 役職・所属等は発表当時(2024年2月時点)のものです。

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