才田　いずみ ［文学研究科 日本語教育学講座 教授］

女性リーダーの育成と言われて，改めて考えてみた。私が携わっている日本語教育学という分野は，女性の多い分野である。一般に語学関係には女性が多いが，プロの教師に研究者，地域ボランティアと，日本語教育関係者を集めたら，おそらく9割近くは女性なのではないだろうか。そんな女性優位の業界なので，女性の上司は当たり前。優れたロールモデルも多数いらっしゃる。 だから，と言うのは非論理的だが，リーダーの育成については，女性にしろ，男性にしろ，全く意識してこなかった。分野の特性から，研究者としてだけでなく，実践家としてもきちんと仕事のできる人材を育てることのみを考えてきた。日本語教員はチームで仕事をすることが多いが，場合によっては，たった１人の専門家として全てを任されることもある。そんな時でも，自分に何が求められているかを判断し，状況に合わせ，学習者や周囲の人間関係にも配慮して，最大の効果を上げ得るコースをデザイン・運営し，結果に責任を持つ。それが「きちんとした仕事」であろう。分析・判断・実行力と社会的スキル。きちんとした仕事ができる力を養うことが，リーダー育成に繋がるように思う。