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【コラム】 アベノミクス「新・三本の矢」は、男女共同参画でこそ実現される。

吉田 浩 [経済学研究科 教授]

これまでワークライフバランスをあ昨年9月、アベノミクスの第二弾として、新・三本の矢が公表された。その内容は、①2020年までに名目GDP(国内総生産)を600兆円にすること、②希望出生率1. 8を実現すること、そして③家族の介護のために離職しなければならない人をゼロとすることの3つであった。このうち、②と③は明らかにワークライフバランスの実現によって実現されなければならないものである。すなわち、仕事と子育ての両立であり、また女性を中心になされている家族介護の現状を改めることである。 また、GDP600兆円についても、女性の就業の促進なしには達成できない。なぜならば、現在の日本のGDPは名目で490兆円余りであり、これをあと5年で600兆円にするためには、年率名目で3.4%の成長を5年連続で続けなければならない。2012年は1947年からのベビーブーマーが65歳を迎えた年であり、2014年までの3年間に毎年100万人ずつの労働者の退職があった。これを、補うためには生産性の高い能力のある女性が企業社会でなお一層活躍することが求められる。 以上のことを考えると、アベノミクス新・三本の矢は男女共同参画社会の実現なくしては実現できないのである。したがって、男女共同参画社会の実現は、もはや国家の成長と国民の幸福をかけた重大なプロジェクトである。このため、義務だから仕方なく目標まではやるという後ろ向きの姿勢だけではなく、いかにより多くより早く達成し て、成果を享受するかという戦略的な視点が必要なのである。

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