焼野藍子 助教 流体科学研究所 流動創成研究部門 航空宇宙流体工学研究分野
妊娠中の思い出
突然ですが、妊娠中はどうだったかを話させてください。妊娠3-5ヶ月ではつわりに苦しみました。お酒を飲み過ぎた翌日のような体調が1日中、約3か月続きました(抗がん剤治療と同じような辛さという人もいます)。当時、コロナ感染予防のために在宅勤務が推奨され、学生や企業の方々との打ち合わせはオンラインとなり、学会も多くがオンラインでした。妊娠6か月になると安定し、周りの多くの方から祝福をいただきました。妊娠を伝えると社会と疎遠になるかと心配していたのですが、コロナ禍で飲み会もなく、いろいろな行事へもオンラインで参加し、さらに学会で招待講演もさせていただけました。周りの皆さんに感謝しています。
急に始まった育児
妊娠中の体調変化より、出産と産後育児の方が大変でした。14:30に出産し、分娩室で19時ごろまで休息した後、病室に赤ちゃんとともに戻ると、保育士さんが「しばらく休んで、次に授乳室に1時ごろ来てください」と一言。そこから育児が始まりました。新生児にとって初乳が重要との教育は受けましたが、思った以上に痛く、新生児の生命力をまさに体感。それぞれ10分程度と言われましたが、まだうまく飲めず合計1時間かかりました。乳首は血だらけで、パジャマが触れるだけで激痛でした(お察しください)。ただ、保育士さんからは「これくらい大丈夫です。次は4時ごろ来てください」とのこと、この時2時30分を過ぎていたのですが、、、このようにして赤ちゃんとの生活が突然スタートしました。私たちが使っていた育児記録を掲載しています。授乳-オムツ替えは2-3時間毎、泣いたらひたすら抱っこでのスクワットしながら優しく揺らすことが半年続きました。科研費執行の延長期間は「産後・育休取得期間」が2-3か月伸びるだけであり、出産女性にとってはやや厳しいのではないでしょうか。
一人では育児は不可能
全ての出産女性は最低でも2ケ月は法的に休業でき、育休を取得するとさらに休業期間が延びますが、その期間が長いと焦るでしょう。産後私が血液不足、睡眠不足で半狂乱の時、助教であった夫は比較的通常運行で、日中は仕事をし、夜は寝る生活でしたので、正直不公平感が募りました。当事者の私ですら、妊娠-出産-育児がこれほど大変だとは全く知りませんでした!妻は出産を機に夫に対する愛情が低下することが多いと言われますが、夫婦が協力して子育てすると夫に対する愛情がV字回復するという調査結果もあります。これから上司になられる方々は是非出産と育児が大変であることを分かっていただき、男性の育休取得にご理解をいただければと思います。
保育園
翌年4月に生後5か月で保育園に入園できました。初めは慣らし保育で午前中のみでしたが、通い始めてすぐに風邪をもらってしまい5月ごろまでは週1回病院に通いました。東北大学には就業中に授乳ができる制度があり、私も1歳まで3時間毎に保育園に授乳のために通うことができました。ただ、子供は分かれるときはいつも泣いていました。小さいながら保育園で頑張る子供のことを思い、日中の時間を大切に、残業しないためにはどうすべきか必死に画策しました。3時間毎の授乳の合間に気持ちをリセットして仕事に優先順位をつけて頑張りました。
最後に
育児は今も続いており、まだまだ大変ですが、世話した分、その成長が楽しみで、嬉しくなります。育児がこんなに大事だとは知りませんでした!授乳が終わり保育士さんに預けるといつも泣いていた息子ですが、2歳ごろには元気よく「バイバイ」と手を振るようになりました。夫ともに、これからも新しい家族の形を目標に頑張ります。私の思い出が何かの参考になれば幸いです。